レジデントの活動【〜勉強会などの活動の一部をご紹介〜】

2017 05/30

2017年5月30日 抄読会

Use of Selective Serotonin Reuptake Inhibitors during Pregnancy and Risk of Autism
Anders Hviid, Dr.Med.Sci., Mads Melbye, M.D., Dr.Med.Sci., and Björn Pasternak, M.D., Ph.D.
December 19, 2013

N Engl J Med 2013; 369:2406-2415

 

【背景】

先行研究から,妊娠中の選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)の使用と,児の自閉症スペクトラム障害のリスク上昇との関連について,懸念が生じている.

【方法】

1996~2005 年のデンマークにおけるすべての単胎生産(出生数 626,875 人)について,2009 年まで追跡するコホート研究を行った.デンマークの人口登録を用いて,妊娠前および妊娠中の母親の SSRI 使用,児で診断された自閉症スペクトラム障害,各種の可能性のある交絡因子に関する情報をリンクさせた.ポアソン回帰により,児の診断までの期間の生存分析を行い,母親の SSRI 使用に基づく自閉症スペクトラム障害の率比を推定した.

【結果】

5,057,282 人年の追跡調査において,自閉症スペクトラム障害 3,892 症例が同定された(発生率 77.0/100,000 人年).妊娠中に SSRI に曝露された女性の児 42,400 人年の追跡調査では,自閉症スペクトラム障害 52 症例が同定された(発生率 122.6/100,000 人年).妊娠前,妊娠中のいずれも SSRI を使用しなかった場合と比較して,妊娠中の使用は,自閉症スペクトラム障害リスクの有意な上昇には関連しなかった(全変数で補正後の率比 1.2095%信頼区間 [CI] 0.901.61).妊娠前に SSRI を使用したが妊娠中は使用しなかった女性においては,全変数で補正後の率比は 1.4695% CI 1.171.81)であった.

【結論】

妊娠中の母親の SSRI 使用と児の自閉症スペクトラム障害とのあいだに,有意な関連は認められなかった.信頼区間の上限に基づき,今回の研究では最大 1.61 の相対リスクを排除できなかったため,この関連についてはさらなる研究が必要である.(デンマーク保健医薬品局から研究)