A Randomized Trial of Epinephrine in Out-of-Hospital Cardiac Arrest
N Engl J Med 2018; 379:711-721 DOI: 10.1056/NEJMoa1806842
院外心停止に対するエピネプリンの有効性
背景
院外心停止の治療にエピネプリンが使用されていることへの懸念から,国際蘇生連絡協議会(ILCOR)は,院外心停止患者に対するエピネプリンの使用が安全かつ有効であるかを明らかにするためのプラセボ対照試験の実施を呼びかけた。
方法
英国で行われた無作為化二重盲検試験において、国民保健サービス(NHS)の5地域の救急搬送部門の救急救命士が、院外心停止患者8 , 014例に、標準治療に加えてエピネプリン(4, 015例)または生理食塩水(3, 999例)の非経口投与を行った。主要評価項目は 30日生存率とした。副次的評価項目は、退院まで神経学的転帰が良好であった生存者の割合などとし、神経学的転帰は修正Rankinスケール(0[症状なし]~6[死亡])のスコアが3以下で良好とした。
結果
30日の時点で、エビネフリン群では130例が生存し(3. 2%)、プラセボ群では94例が生存していた(2.4%)(生存の未補正オッズ比1. 39、 95%信頼区間[CI ]1. 06~1. 82、 P= 0.02)。退院まで神経学的転帰が良好であった生存者の割合に有意差は認められなかった(4, 007例中87例[2. 2%]対 3, 994例中74例[1. 9%]、未補正オッズ比1.18、95% CI0 . 86 ~1. 61)。退院時に重度の神経障害(修正Rankinスケーノのスコアが4 または5)を有していた生存者は、エビネプリン群のほうがプラセボ群よりも多かった(126例中39例[31. 0%]対90例中16例[17. 8%])
結論
院外心停止の成人患者において、エビネフリンの使用は、プラセボを使用した場合よりも30日生存率を有意に高めた。しかし、エピネフリン群のほうが重度の神経障害を有している生存者が多かったため、良好な神経学的転帰を有する割合に群間で有意差は認められなかった。