Public Use of Automated External Defibrillators
N Engl J Med 2003; 348:755-756 DOI: 10.1056/NEJM200302203480815
自動体外除細動器の公共利用
背景
自動体外除細動器は、指定された人が特定の公共の場で使用した場合、生命を救っている。われわれは、院外心停止に居合わせた無作為の第三者が、自動体外除細動器を取り出して首尾よく使えるかどうかを評価するため、シカゴの3つの空港で、2年間の前向き研究を行った。
方法
除細動器は、年間合せて1億人を超える乗客が利用する。オヘア空港、ミッドウェー空 港、メイグスフィールド空港の旅客ターミナル全体に、早歩きで60~90秒の間隔をおいて設置した。除細動器の利用促進は、待合い所の公共サービスビデオ、パンフレット、およびマスコミの報道によって行った。係員の通知から除細動までの時間、心停止患者の 72時間および1年生存率、心停止患者の神経学的状態、および救助者の特徴を評価した。
結果
2年間に21例が非外傷性心停止となリ、うち18例が心室細動をきたした。2例を除き、除細動器を操作したのは善意の救助者で、自発的に行動した。心室細動をきたした4 例の患者の場合、除細動器が近辺になかったか、5分以内に使用されなかったため、全例が死亡した。他の3例は、除細動器の迅速な使用(5分以内)にもかかわらず細動が持続し、結局死亡した。心室細動をきたした人のうち11例は蘇生が成功し、うち8例は入院前に意識を回復した。心停止が疑われた4例には電気ショックが与えられず、除細動器は、心停止が心室細動によるものではないことを正しく示した。蘇生が成功した患者11例中6例を救助した者は、自動除細動器使用に関する卜レーニングを受けておらず使用経験もなかったが、救助者3名は医学の学位をもっていた。心室細動をきたした18例のうち10例は、1年後も生存し、11例は神経学的に正常であった。
結論
シカゴの空港の利用しやすくよく目立つ公共の場所に設置されている自動体外除細動器 は、心停止患者の救助に有効に利用された。生存例において、自動体外除細動器使用者の大半は、救助する義務がなく、自動体外除細動器の使用について事前の卜レーニングを受けていなかった。