レジデントの活動【〜勉強会などの活動の一部をご紹介〜】

2017 09/12

2017年9月12日 抄読会

Day-to-Day Blood Pressure Variability and Risk of Dementia in a General Japanese Elderly Population The Hisayama Study

Emi Oishi, Tomoyuki Ohara, Satoko Sakata, Masayo Fukuhara, Jun Hata, Daigo Yoshida, Mao Shibata, Toshio Ohtsubo, Takanari Kitazono, Yutaka Kiyohara, Toshiharu Ninomiya.

Circulation. 2017;136:516–525. DOI: 10.1161/CIRCULATIONAHA.116.025667

【背景】

既知の事実として診察室血圧変動の大きさが、認知障害や認知症のリスク因子であることは判明している。しかし、家庭血圧測定によって評価された日々の血圧変動と認知症発症との関連を調べた研究はなかったので、久山町研究に登録されている日本人高齢者の日常血圧変動と認知症リスクとの関連を調査した。

 

【方法】

非認知症の60歳以上日本人高齢者1,674人を対象に、200712年の5年間調査。

家庭血圧は、平均28日間毎朝3回測定した。日々の収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)の変動は、自宅でのSBPおよびDBPの変動係数(CoV)として計算した。すべての認知症、血管性認知症(VaD)、アルツハイマー型認知症(AD)の発症に対する家庭血圧のCoVレベルのハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。

 

【結果】

調査期間中に認知症発症したのは194人、そのうちVaD47人、AD134人であった。

認知症、VaDAD発症率は、年齢・性別で調整したのち、家庭SBPCoVレベル増加とともに有意に増加していた。(家庭SBPを含む交絡因子で調整するも、関連は変化なし)

家庭SBPCoVレベル第4四分位群の人におけるすべての認知症(HR2.2795CI1.453.55p0.001)、VaDHR2.7995CI1.047.51p0.03)、ADHR2.2295CI1.313.75p0.001)発症リスクは、第1四分位群の人と比較し、有意に高く、家庭DBP血圧のCoVレベルについても、同様の関連が認められた。

家庭SBPレベルは、VaDリスクと有意な関連が認められたが、認知症およびADリスクとは関連が認められなかった。

家庭SBPレベルと家庭SBPCoVレベルとの間に、認知症の各サブタイプリスクと関連する相互作用は認められなかった。

 

【結論】

日常の血圧変動の増加が、日本人高齢者の認知症、VaDAD発症のリスク因子であることが示唆された。